7co「0.0000%」—M男に響く中毒性が魅力
7co の「0.0000%」は、ただの失恋ソングではない。恋愛の崩壊にまつわる怒り、嫉妬、自己肯定、決別、そしてどこか滑稽な人間臭さまでを、R&B/HIP-HOP的リズム感とミニマルで耳に残るフックに凝縮した、2020年代以降の“感情の歌の作り方”を象徴するような楽曲だ。
サウンドはタイトで軽やか。だが、言葉選びは鋭い。
たとえば、序盤に登場する「センパイ(先輩)」「ヘンタイ」というライン。これは単なる韻遊びではなく、語感の快感と感情的優位の宣言がセットになったパンチラインだ。歌詞の印象をふざけた語感で包みつつ、相手を突き放す心理的距離感がそこに仕込まれている。この「かわいいけど刺さる」言葉の扱いこそ、7co の魅力だろう。
さらに中盤のフレーズ、「あっハナセレブあるからさ、その代わり別れてくんない」
この歌詞も秀逸だ。
生活用品=ティッシュを比喩に使うことで、恋愛の終わりの瞬間を過剰な悲劇性ではなく生活感・現実味のある描写に落とし込む。この「冷たさ × コミカルさ」のバランスが、むしろ言葉の残酷さを際立たせる。聞き手によっては“救いのなさ”や“切り捨てられる痛み”に快感を覚え、どこかSM的な関係性すら感じてしまう。7coの「別れてくんない」の上から見下したような歌い方に、M男にとってはハイヒールで踏みつけられるのと同様の快感を覚えるに違いない。
また、歌詞中のワードチョイスとして、
「バ先の女」という俗語が登場する。おじさんには「馬刺し」に聞こえたこの「バ先」は「バイト先」という意味らしい。雑で、軽くて、それでいて脳裏に残る病みつきフレーズだ。 この言い方ひとつで、登場人物の年齢層、恋愛の温度、価値観までを情景として喚起できる。
楽曲中には
「イチャイチャ」「ジェラジェラ」といったオノマトペが配されるが、これも計算された配置だ。破局を語る曲でありながら、こうした柔らかい語彙が挿入されることで、怒りを丸い輪郭のポップ性へと変換する機能を果たしている。重たすぎず、軽くない。感情のニュアンスを音楽として正確に処理している。オノマトペではないが「いろはにほへと恋もちりぬるを」という部分も言葉遊びとして7coのセンスを感じてしまう。
そして、「コレサワ」の名前が直接登場する点も注目だ。自己の音楽的血脈や感情表現の系譜を示す引用であり、同時にリスナーへのウィンクでもある。
コレサワは失恋・感情の傷・自己肯定をテーマに独自の言語観を築いてきたアーティストであり、7co がそこに名前を置くことは、「この曲はその延長線にある」という暗黙の宣言とも読める。
感情は重く、語り口は軽く、ノリはキャッチー。
しかし、言っていることは鋭利。
だからこそ、傷ついた人には刺さり、刺さった人には離れられない一曲になる。
いわゆる王道な曲ではないが、病みつきになる中毒性の強い楽曲だ。


